La Collina inspection report🍩


— 老舗ブランドの進化と体験価値創造について**

先日、近江八幡市の主要観光拠点である ラコリーナ近江八幡 を視察いたしました。
老舗菓子舗たねやグループが手がける同施設は、クラブハリエの工房を中心とした“バームクーヘンのテーマパーク”として知られ、平日にもかかわらず多くの来訪者で賑わう圧倒的な人気スポットです。

視察を通じて、老舗が長い歴史の上に新たな価値を重ね、未来へ向けてブランドを進化させるための重要な示唆を多く得ることができました。

1. ブランド戦略の完成度と世界観のつくり方

ラコリーナを歩いてまず感じたのは、敷地全体に “たねや” の哲学が一貫して流れていることです。

  • 自然と共生する建築

  • 土地の風景に溶け込む素材選び

  • ゆったりとした時間軸を感じさせる導線

  • 手仕事と職人文化の可視化

これらすべてが統一された世界観の中に位置づけられ、来訪者は「商品を買いに来た」のではなく、“たねやという世界に訪れている” という体験を得ます。

特に印象的だったのは、
商品よりも世界観を先に打ち出すブランド構築 です。

店舗デザイン・自然との調和・物語性を含めた体験の全体がブランドの価値となり、その中に商品が自然と置かれている。この構造は老舗が現代においてブランドを強く保つうえで、大きなヒントになると感じました。

2. “体験” が収益モデルを変える

クラブハリエの工房では、焼き上がる様子を間近で見ることができます。
このライブ感こそが、訪れる価値の核となり、結果として商品の購入・滞在の延長・口コミ発信へとつながっていました。

  • 工房見学による納得感

  • 焼きたて限定商品の提供

  • 並ぶ時間すら“期待値の高まり”として演出

これらはすべて、販売そのものを“体験化”することで付加価値を高める設計です。

とくに老舗の場合、伝統的な商品に対して「体験が価値を増幅させる」構造はとても強く働くと感じました。

3. 観光地として成立させる設計思想

ラコリーナは単なる物販施設ではなく、明確に 観光コンテンツ として成立しています。

  • 風景として楽しめる建築

  • 進むほどに景色が変わる回遊動線

  • 写真を撮りたくなる仕掛け

  • 限定商品による移動誘発

来訪者の滞在時間が長く、敷地全体を巡ることで体験が“積層”していく構造がありました。

「もう少し歩いてみよう」「次のエリアも気になる」
と自然に思わせる設計は、老舗に限らずあらゆる観光業に共通する成功要素だと感じます。

4. 今後の自店への示唆

 商品 × 空間 × 物語 の統合へ

今回の視察で強く感じたのは、
“商品を売ること”と“場をつくること”は切り離せないという事実です。

私たち自身の今後の方向性としても、

  • 体験型価値の創出

  • 訪れたくなる空間演出

  • 地域性の再編集と物語化

これらをより深めていく必要があります。

特に滋賀の伝統や歴史、風土には、まだまだ語れる要素が多く眠っています。
それらを「再編集」し、お客様へ伝わる形に整えていくことこそ、老舗として未来へ歩みを進める鍵になると改めて認識しました。


5. 結びに

ラコリーナは、
“老舗が未来に向けてブランドを進化させた成功事例”
として、非常に学びの多い施設でした。

長い歴史の上に新しい価値を重ねるためには、
商品、空間、物語を一体化し、来訪者にとって“忘れられない体験”を提供することが不可欠です。

今回の視察で得た気づきと学びを、今後の店舗づくり・ブランド戦略にしっかりと活かしていきたいと思います。

Integrating Product, Space, and Storytelling

What struck me most during this visit was the fact that selling products and creating a space are inseparable.

As for our own future direction,

Creating experiential value

Designing spaces that inspire visitors

Revisiting and storytelling the local flavor

We need to further deepen these efforts.

In particular, there is much to be said for Shiga's traditions, history, and culture.

We have once again realized that "revisiting" these elements and shaping them into a form that can be communicated to customers will be the key to moving forward into the future as a long-established store.